自民党の憲法改正議論のペースが遅くなった?

当初は年内に改正案をまとめる目標を掲げていたが、年内は具体的な条文案どころか、テーマごとの論点を指摘するだけで議論を終えそうだ。この調子では来年の通常国会に改憲原案を提出する目標は難しい。党幹部に事情を聴くと、ブレーキの原因は大勝したはずの10月の衆院選という。比例代表の得票差が与野党でほとんどなくなったことが、自民党の改憲論を尻込みさせているというのだ。

12月6日、約1年ぶりに議論を再開した参院憲法審査会。冒頭で発言した自民党の磯崎仁彦氏(60)は、党を代表して憲法改正議論の現状をこう説明した。

「自民党の憲法改正推進本部では、9条に自衛隊を明記することで、合憲・違憲問題を払拭する。具体的にどのような条文にすればいいのか、議論を深めているところだ」

磯崎氏は9条に加え、緊急事態条項▽教育無償化・充実強化▽参院の「合区」解消-の改憲4項目について議論を進めていることも強調した。ただ、条文案をいつまでにまとめるかや、国会の憲法審査会の提案時期などは言及を避けた。

自民党総裁の安倍晋三首相(63)は5月、平和主義や戦力不保持を定めた9条の1、2項を変えずに自衛隊の存在を明記することを提案した。党幹部はその直後、年内に具体的な改憲条文案をまとめ、来年の通常国会で条文案を衆参両院の憲法審査会に提出する方針を公言していた。

5月当時は、来年秋の党総裁選と同年12月の衆院議員の任期満了を見据え、衆院選と憲法改正の是非を問う国民投票を来年秋以降に同時実施する案も念頭にあったとみられる。条文案の策定と国会の憲法審での議論は年単位の時間がかかるはずだが、自民党幹部は「毎週でも改憲の議論を進めれば来年中の発議に間に合う」と鼻息を荒くしていた。

ただし、この流れを大きく変えたのが、民進党低迷の急所を突いた9月の衆院解散と10月の総選挙だ。お粗末な野党の離合集散劇に助けられ、自民党は単独過半数を大きく上回る281議席を獲得した。追加公認の3議席と公明党の29議席と合わせれば、与党で改憲発議に必要な3分の2(310議席)を超える313議席を確保した。

自民党は衆院選で憲法改正を公約の主軸に据えた。圧勝した結果を踏まえれば、普通は当初の改憲スケジュールが加速してもおかしくない。ところが、自民党で改憲議論に携わる幹部の表情は、なぜか重いのだ。

「衆院選の比例代表の票の出方に着目しろ。軽々に国民投票などできない事情が分かるから」

ある党重鎮は、苦々しい表情でこう打ち明ける。

衆院選で、自民党は比例代表で約1856万票、公明党は約698万票を得た。一方、野党側は、民進党から分裂した立憲民主党が約1108万票、希望の党は約968万票も得ている。前回の平成26年衆院選で旧民主党は約978万票にとどまったが、分裂した立憲民主、希望両党を足せば倍以上に得票を伸ばした形だ。

加えて、綱領に現行憲法の全条項厳守をうたう共産党は約440万票、社民党は約98万票を獲得した。

希望の党が安倍首相の憲法改正提案に反対すると仮定すれば、立憲、希望、共産、社民の4野党の合計得票は2614万票に達する。対する与党側は自公を足しても2556万票で、4野党の総得票に及ばない。

立憲民主、共産、社民の各党に投票した有権者は、自民党の改憲案に対し、国民投票で賛成を投じる可能性は低いとみられる。希望の党は「現実的な安全保障政策」を掲げ、9条への自衛隊明記にも前向きな議員が多いが、安倍政権への対決姿勢は捨てていない。

仮に安倍首相が政治生命をかけて現憲法下で初めて改憲発議に踏み切れば、希望の党といえども「国民投票で敗れれば首相の首が飛ぶ」と判断し、他の野党と「反対」で足並みをそろえる事態は否定できない。

仮に来年中に改憲発議にこぎつけても、国民投票で負けかねない-。これが、自民党幹部の抱える懸念だ。

党憲法改正推進本部の幹部は「12月9日に特別国会が閉じた後、毎日のように改憲の議論をすればいいのに『議論を急ごう』という機運はまったくない。首相や党幹部が、来年の発議を諦めたのでないかと疑う」と打ち明ける。

安倍首相にとって憲法改正は、政治家として最もこだわるレゾンデートル(存在意義)といってもいい。仮に首相が当面の発議を見送れば、来年秋の党総裁選での3選は揺るがないだろうが、再来年の参院選では首相の求心力低下を受け厳しい事態も予想される。

党本部では「来年に改憲発議がないなら、1年間をゆっくり過ごせる」との楽観論であふれている。しかし、本当に発議を見送るなら、党は近い将来、より大きな危機を迎えるのでないか。それなのに、師走の党本部は、なんとものんびりした空気に包まれているのだ。

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